敗戦を挟んで製作され、占領軍の検閲でオクラ入りとなり、講和条約締結後の1952年に初めて上映された黒澤の傑作。能の『安宅』とその歌舞伎化の『勧進帳』をもとに、源頼朝から逮捕令が出された義経と弁慶一行の“安宅の関越え“を描く。黒澤は義経一行7人に付き添うおしゃべりな強力(ごうりき)を創出し、エノケンのキャラクターを存分に活用している。大河内伝次郎の弁慶とエノケンの強力、このコントラストが目ざましい効果を上げ、この映画を非凡なものにした。エノケンの軽妙さが滅びいく者たちの悲劇性を際立たせる。結末で酒に酔いしれ
関ヶ原の合戦から大坂夏の陣までの豊臣方対徳川方の息づまる激動の戦いを、霧隠才蔵を主人公に描く。リアルな忍術描写が話題に。一部資料では全21本と記載されているが誤りと思われる。各回のサブタイトルは以下のとおり。第1回「伊賀者上洛(「上洛」にルビ「じょうらく」が付く)」、第2回「冬の暗流」、第8回「変身居士(「居士」にルビ「こじ」が付く)」、第10回「大殺陣」、第11回「家康狙撃」、第12回「城壁に死す」、第15回「名古屋城大爆破」、第17回「慶長地獄節」、第20回「甲賀決死隊」。【役名(演技者)】霧隠才蔵(
大坂城は今日も落陽に美しく映えていた。しかし、城と運命をともにする当主秀頼や淀君らは、もはや昔の夢を追うことはできなかった。徳川秀忠は豊臣家への圧力を強化してきたのだ。京都方広寺の大仏開眼供養の儀式は、両家を相争うべき宿命の谷に追いこんだ。--関ケ原の戦いで一家を失った無法者、鬼の茂兵衛が大坂にやってきた。彼は動乱まで利用しようとする大坂商人の根性に腹が立った。茂兵衛は乳兄弟の隼人と連れの女阿伊を逃がすために山伏に捕えられ、橋に宙吊りにきれた。霧隠才蔵と名のる忍者が彼を救った。才蔵が茂兵衛の綱を切り落すと